オツキ ユキエ / 「宮沢賢治」朗読家 『宮沢賢治』この名前を前にして、私は常に言葉を失う。ただ無言の祈りのようなものを、無窮の空に帰すことしかできない。『永遠の未完成、これすなわち完成なり』この慈雨降る天蓋の下、あまねくすべてのものの営みは慰められるであろう。『永遠』というコスモスにこれほど馴染んだ人の言の葉を、私はほかに知らない。オツキさんの「賢治」は雪の物語であれば、その香りにさえ包まれて、気がつけばもう私たちは雪原のまっただなかにいる。このマジックは、オツキさんの賢治への敬愛の念が、心に収まりきれずに溢れに溢れて、浄化の涙となって支えているからだ。 >> マージナリア・コンサート |