倉持 佳子 / ボディセラピスト 若い頃、憧れた旅の計画が一つあったが、未だに果たせずにいる。パリからボース平原の麦の海を経て、シャルトルに至る。あのシャルトルブルーと薔薇窓の光りを全身に浴びてみたかった。ピレネー山腹のロマネスク寺院を訪ね、原初の祈りの形にどうしても出会いたい。ピカソのゲルニカのバスクへ、サチャゴの貝殻を道しるべに野の道をたどり、やがて薫香かおる大聖堂、光りのサンチャゴ・デ・コンポステーラへ至る。古来からの厳しい巡礼の道である。自分の未知なる中心への苦悩と歓喜の旅である。サンチャゴ・デ・コンポステーラの巡礼路を走破して、「西岡さん、私いったのよ」とこの人が言ったとき、一瞬信じがたかった。でも、この人ならやる。 「一歩一歩踏みしめて歩いた道のりは、自らを内省し、存在の原初に立ち返るために深く深く潜って尋ねる、まさに祈りそのものでした。」 この人の人生の行く末が、その笑顔の中に輝いていた。 |