笠井 叡 / 舞踏家、オイリュトミスト![]() この方にお会いすると青春時代の血が騒ぐ。学生時代、ゲバルトの嵐の中で笠井叡を見た。(別に笠井先生がゲバルトの嵐の中にいたんじゃありません)まったく老いを知らぬ肉体を駆使し、今もアストラル体域に散花をまく。この人が、話すために三段の階段を下りる、しかしそれは違った。私たちが、目撃したのは虚空を一万メーターも下降する飛行体だった。産道を出た赤ちゃんが初めて「オギャー!」と泣いたその一声と同じ、「降りること」が「いま生まれた」としか言いようのない聖なるなにものかだ。まわりの空気さえ、もう「笠井叡」のものだった。しかし、このたった一歩の天使の舞踏!は、ただ「笠井叡」においてのみ成就することではない。実は、私たちも日頃無意識のうちになしている。ただ彼はその営みの底を支える人類の神話的な領域を白日の下に曝しただけなのだ。 |