平尾 雅子 / ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者

平尾 雅子

『笙』と『ヴィオラ・ダ・ガンバ』この二つの楽器に私は特別な愛着を持っています。感性の本能の奥底にまで響いてきます。『笙』は天に七彩の光りが、綾なしながら立ち上っていくような、『ガンバ』は、大地の中に眠るすべての時の記憶を物語るような、『いつくしみ』という言葉がすぐ浮かんでくる不思議な質感をその中に秘めています。一言語り始めると空気の色さえ違ってくる。よくぞ人がこんな楽器を作ってくれたものだと感謝しています。この何か宿命性を感じさせる楽器ガンバと宿命的に結ばれた平尾さん、あなたの弾かれるアーベルの『無伴奏ガンバのため3つの小品』、この音楽に私は衝撃を受け、どれほど愛したことでしょう。僭越ながら、いまもP.モーツァルトのテーマソングにしたい。