P.モーツァルト・オーナーに感銘を与えた著名人たち
A・ジャコメッティ / 彫刻家、画家、詩人 私の『PORALIS』。 「明日はもっとよく見えるだろう」 「今これを壊すのは、喜ぶべきことだ、なぜならそれはもっと美しく私の命と共に甦ってくるから」 破壊と、創造の間を揺れる振り子は、永久に静止する事はない。この歩みを支えるパッションは、何を見つめているのだろうと、永いあいだに身に付いた習慣のように、今までずうっと思い続けてきました。 本能の命ずるままに、目に見えぬ極点を目指し、獲物もない雪原を生死を超えて疾駆する孤狼のような、巨大な謎の中心に人を駆り立てる宿命的な『人間性』に、この人を知ったとき、私は始めて出会いました。 はたして、宇宙のなかに、このような宿命性をもって生きる存在が、人の他にありうるのだろうか。もし在れば、人は宇宙に花を咲かせるような、どれほど見事な結婚をそれらの心となせるだろう。 全てのものの営みを「意味あるもの」と慰め照らす救いの火を掲げて止まない、それら全てのキリストに私は捧げよう、あのオルペウス教の祈りの言葉を、『我は天と地との子なり、されどわが血統は天に属す』 たとえ、全人類が、この宇宙を去ったとしても、このような人の輝きを人類が生み出す限り、人類は宇宙史のなかに、くっきりと星の輝きのような光りとして記き残されるであろう。ウン?!、ちょっと誇大すぎましたね。 メルロー・ポンティ / 哲学者 フランス哲学界の巨人。こんな柔らかい不思議な言葉で真理を語った人はいない。1460日かけて読んだたった48ページの『眼と精神』、目の前の世界の中に、今もこの本を私は読み続けている。サルトルや、ボーヴォアール、ミシェル・レリス、ポール・ニザンらとセーヌ左岸の夢のような知の時代を作っていた。コーヒーやブランデーや葉巻の、薔薇が咲いたようなあまやかな匂いの中に、人々の知を讃える熱い炎が息づいている。コンコルドの鳩や、パリの霧や、風や、雨さえもその場に礼を尽くして去っていった。ノスタルジーを誘って止まないあの祝祭の時代。 ポール・ニザン / 文学者 「僕は二十歳、この季節を人の一生で一番美しいものだとは、誰にもいわせない」煌めくような有名な冒頭句で始まる『アデン・アラビア』この書はわが青春のバイブルでした。ランボーを思わせるその砂漠的体験。砂漠は経験純化の核を作り、命を真っ裸にし、その殉教者を錬成する。余分なモノ、すべての虚偽虚飾を焼き尽くす。確かに『アッラー!』なのだ。1930年代、第二次世界大戦前夜の荒れ狂う時代をユマニテへの燃えるような熱に焼かれて、流星のように闇夜を切り裂きダンケルクに戦死したニザン。人は時代の子である、時代と人が錯綜する。しかし、その時代の足かせを破り、普遍性の高みに命を捧げる人をもまた時代は生み出すのだ。彼の伏した大地の草の葉の一粒の露は、彼の瞳に世界のすべての美しさを写して手向けとなしたであろうか。 フラシス・ポンジュ / 詩人 詩集『物の味方』、「もの」の「見方」を教わろうと買ったが、「物」と「味方」が違った。なんだと思いながら読み始め て、バリケードのなかで体が震えた。『小鳥に説教する聖フランチェスコ』それは違うぜ、お父っつぁん!、若気の至りだが、反対に思えた。ポンジュはそんな世界の見方を教えて私を変えた。“世界”、“心”、“言葉”、この 三位一体の新しい知の地平を私に教えて世界を変えた。 |